「毎週だれかがやっている確認作業だが、手順は本人の頭の中にしかない」。定型業務の困りごとは、手順の属人化、実行タイミングを人が覚えていること、本業と割り込み作業が同じ場所で混ざることの 3 点に集約されます。
OpenAI の Codex には、この 3 点に対応する Skills、Scheduled tasks(Automations)、worktree があります。この記事では「どの環境で・どんな前提で・どこまでか」を、2026 年 9 月時点の OpenAI 公式ドキュメントに沿って整理します。いずれも、設定すれば人の確認が不要になる仕組みではありません。
Skills:手順をファイルにして、チームで再利用する
Skills は「A skill packages instructions and supporting resources for a specific task or workflow.」と定義されています。Codex では $、ChatGPT では @ メンションで呼び出せるほか、依頼内容が合えば Codex 側が自動で選ぶこともあります。(出典: Skills & Plugins)
SKILL.md の構造と置き場所
Skills の実体は SKILL.md を含むフォルダです。frontmatter には name と description が必須で、description は「いつ使うべきか」の判断材料になります。必要に応じて scripts/、references/、assets/ を同じフォルダに置けます。(出典: Build skills)
| 範囲 | 置き場所 | 用途 |
|---|---|---|
| リポジトリ | .agents/skills |
そのリポジトリを扱うメンバーで共有 |
| ユーザー | $HOME/.agents/skills |
個人がリポジトリをまたいで使う |
| 管理者 | /etc/codex/skills |
端末全体の既定 |
| システム | Codex 同梱 | $skill-creator など組み込み |
自分で書くのが難しければ、組み込みの $skill-creator に、その Skills が何をするか・いつ使うべきか・スクリプトを含めるかを答えて雛形を作らせる方法があります。公式ガイドは、想定するプロンプトで意図どおりに発動するかを確認するよう勧めており、「Keep each skill focused on one job」、1 つの Skills に 1 つの仕事だけを持たせることも勧めています。(出典: Build skills)
知っておきたい制約
- Skills の一覧がプロンプトに占める量は「at most 2% of the model’s context window, or 8,000 characters when the context window is unknown」に制限されます。
descriptionは簡潔に、数は絞るのが現実的です。(出典: Build skills) - ChatGPT ワークスペースでの共有、ローカルのファイル配布、プラグインとしての配布は「separate paths」で、一方に置いても他方へ自動反映されません。チームメイトへの共有は「when your workspace settings allow it」とあるとおりワークスペース設定に依存し、管理下のワークスペースではその設定はロールと権限の管理モデルに従います。(出典: Skills & Plugins、Skill controls)
- Skills は結果の正しさを保証するものではありません。公式ガイドも、基本は指示文で書き、確定的な動作や外部ツールが必要な場合に限ってスクリプトを使うよう勧めています。(出典: Build skills)
Scheduled tasks(Automations):繰り返しの確認や資料づくりを予約する
公式名称は「Scheduled tasks」(ドキュメント URL は automations)で、時間ベースとイベントトリガーの 2 種類があります。(出典: Scheduled tasks)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成・管理 | ChatGPT の Web またはデスクトップアプリ。Codex CLI と IDE 拡張には管理画面がない |
| 時間ベース | 分・日・週の間隔、RFC 5545 の繰り返しルール |
| イベントトリガー | Gmail・Slack 指定チャンネルの新着、GitHub の Pull Request 活動。Web とモバイルのみ、対象プラン限定 |
| 組み合わせ | 複数のイベントトリガーは可、イベントトリガーと時間ベースの併用は不可 |
ローカルのプロジェクトを扱うときの前提
デスクトップアプリでは、ローカルのプロジェクトを対象に「ディレクトリで直接実行」か「分離された worktree で実行」かを選べます。後者なら予約実行の変更が手元の作業と混ざりません。
ただし、ローカルのファイルを扱うタスクは「Keep the computer on and the app running when a scheduled task needs local files」とあるとおり、PC の電源とアプリの起動が前提です。夜間や休日に走らせるなら端末の確保を先に決めます。管理下のワークスペースでは、イベントトリガー付きタスクの許可を管理者が権限で制御でき、requirements.toml で sandbox 要件も強制できます。(出典: Scheduled tasks)
worktree:並行作業と差分確認を分ける
worktree は「Worktrees let Codex run multiple independent chats in the same project without interfering with each other.」と説明され、内部では Git worktree で同じリポジトリの別チェックアウトを作ります。(出典: Worktrees)
使い方は、ChatGPT デスクトップアプリの新しいチャットで Local / Worktree / Cloud のうち Worktree を選び、ベースにする Git ブランチを選ぶ流れです。Local と Worktree は手元の PC で動き、Cloud は設定済みのクラウド環境で動きます。「Hand off」でチャットをローカルのチェックアウトと worktree の間で移動でき、結果を残したいときは「Create branch here」でブランチ化してコミットや push につなげます。(出典: Worktrees、Modes)
前提と制約
- Git リポジトリが必須です(「Worktrees only work in projects that are part of a Git repository」)。
- 同じブランチを 2 か所で同時にチェックアウトすることは Git の仕様上できません。
- 既定の作成先は
$CODEX_HOME/worktreesで、Codex 管理の worktree は直近 15 件が保持されます。 - worktree はスマートフォン上では動きません。スマートフォンの ChatGPT アプリからは Remote で接続した PC 上の Codex を操作する形になり、リポジトリと worktree はその PC 側に残ります。(出典: Worktrees)
差分の確認
作業結果はデスクトップアプリの review pane で差分を確認できます(hunk 単位の stage / revert、インラインコメントに対応)。CLI / IDE では /review でベースブランチとの比較や未コミットの変更をレビューさせられ、「reports prioritized findings without changing your working tree」とあるとおり作業ツリーを変更せずに指摘だけを返します。(出典: Code review)
3 つを組み合わせたチーム運用の例
社内向けの週次レポート作成を例にした運用設計の一例です(効果を保証するものではありません)。
- レポートの作り方を
SKILL.mdにまとめ、リポジトリの.agents/skillsに置く - デスクトップアプリの Scheduled tasks で週次の下書き作成を予約し、実行先は分離された worktree にする
- 下書きを review pane で確認し、問題なければブランチ化して共有する
要点は、Codex に最終判断を渡さないことです。手順は Skills で固定し、実行は予約し、確認とマージは人が行う。ワークスペース外への書き込みやネットワークを伴うコマンドは既定で承認要求の対象になるため、承認の境界をチーム内で共有しておくと運用しやすくなります。(出典: Agent approvals & security)
Codex は Free / Go を含む ChatGPT の各プランで利用でき、利用上限はプランで異なります。学習利用の既定はプランで異なるため、最新条件は OpenAI 公式ドキュメントをご確認ください。ローカル実行でも、必要に応じてファイルの抜粋やプロンプトは OpenAI に送信されます。(出典: Using Codex with your ChatGPT plan、Local security)
デジライズの支援について
株式会社デジライズでは、Codex の法人導入にあたって、対象業務の洗い出し、Skills の設計、Scheduled tasks と worktree を含む運用ルールづくり、承認・権限の設定方針の整理を、企業ごとの環境に合わせて支援しています。費用や期間は個別にお見積もりします。まずは お問い合わせ からご相談ください。
- https://learn.chatgpt.com/docs/skills-and-plugins
- https://learn.chatgpt.com/docs/build-skills
- https://learn.chatgpt.com/docs/enterprise/skills
- https://learn.chatgpt.com/docs/automations
- https://learn.chatgpt.com/docs/environments/git-worktrees
- https://learn.chatgpt.com/docs/environments/modes
- https://learn.chatgpt.com/docs/code-review
- https://learn.chatgpt.com/docs/agent-approvals-security
- https://help.openai.com/en/articles/11369540-using-codex-with-your-chatgpt-plan
- https://learn.chatgpt.com/docs/enterprise/chatgpt-work-local-security
確認日:2026年9月6日。提供条件・機能・料金は変更されるため、最新情報は各公式ページをご確認ください。
デジライズの実績はデジライズ全体の社内集計値です。Codex の機能・対応環境・料金・提供条件は記事の公開・更新時点の OpenAI 公式情報に基づき、変更される場合があります。導入効果は企業や業務によって異なります。

